老兵は死なず

移動中の電車で、野中広務・著「老兵は死なず」を読み終わる。自民党を裏で操った男の自叙伝なんだけど、彼の政治哲学にはとても感心させられた。それは端的に言うと「情と理」の精神。もっとかいつまんで言えば、弱い者を助け、筋が通らないことはしない、ということ。そして、野中さんの場合、現場叩き上げで物を言っているところに説得力があるなと思った。理想(机上の空論)を語るより、自ら苦労して体得した経験からくる一言の方が、どれほど重みがあるか。今の小泉政治のやり方が、この本を読んでから見る目が変わりましたね。これほど見識のある野中さんには、もう少し日本のために頑張ってもらいたかったな、というのがちょっと残念。

野中広務 全回顧録 老兵は死なず (文春文庫)

野中広務 全回顧録 老兵は死なず (文春文庫)