墜落ネコの死亡率

三浦俊彦和洋女子大学教授)による、墜落ネコの死亡率についての話が面白い。

016★墜落ネコの死亡率    1123         falling cats' death rate

 ネコは、御存知のとおり、着地がうまい。しかし、半端でなく高いところから落ちたネコはどうなるだろう? この興味深い話題について、ニューヨーク・タイムズの科学別冊『サイエンス・タイムズ』に次のような記事が載った(1989年8月22日。以下は要約)。

 1984年の5ヶ月間に、ニューヨーク市の高層マンションからネコが落ちた事故のうち、何階から落ちたかという獣医師の記録があるのは129匹である(2階〜32階)。うち、死亡は8匹だったが、驚くべきことに、階が高いほど生存率も高いという事実が判明した。7階以上から落ちたネコ22匹のうち死んだのは1匹だけ。9階以上から落ちた13匹はすべて生き延び、しかも骨折は1匹だけだった。
 なぜ高階層から落ちたネコのほうが生存率が高いのか? 獣医師の説明によると、ネコは、落ちると「終端速度」(それ以上速くならない最高落下速度)にすみやかに達する。それは時速60マイルで、人間の大人の終端速度の半分。この終端速度に達するまでは、ネコは脚を突っ張って抵抗するので、着地したとき怪我をしやすい。しかし終端速度に達した後は、ネコはリラックスし、脚をムササビのように広げるので、空気抵抗が高まり、着地時に衝撃が均等に分配されるのである。

 さて、統計数字そのものに間違いはなかったのだが、後に、この統計は根本的な誤解にもとづくものであることがわかった。つまり、高階層のネコのほうが下階層のネコより生き延びやすいという事実はなかったのである。
 統計と現実との間にズレが生じたのは一体なぜだろうか?

ソースはこちら→http://members.jcom.home.ne.jp/miurat/puzzl3-y.htm